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ヒトメタニューモウイルスについて

[2025.01.08]

ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus:hMPV)感染症は乳幼児に多い急性呼吸器ウイルス感染症で2001年に初めて分離されたまだ新しいウイルスです。hMPVはRSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)とともに小児の急性呼吸器感染症の原因として重要な病原体ですが、生後2歳までに大半の小児がRSVに感染する一方でhMPVへの感染はやや遅く大多数の小児への感染が完了するのは5-10歳までとされています。また入院を要した小児の月齢を比較するとRSVが中央値2-3か月であるのに対しhMPVは6-12か月と高かったという報告があります。hMPV感染症は届出対象ではないため流行状況の把握は困難で、特にCOVID発生以降はほとんど報告がみられなかったようです。COVIDの5類感染症に移行後に様々な感染症の顕著な流行が相次いでいることからも、今回の中国での大流行がこれから始まる春節による人々の大移動によって日本に持ち込まれることで一時的な流行が起きることは想定しておかなければならないでしょう。一方でCOVIDやインフルエンザのような簡易検査キットは一部の小児のみに保険適用となっていますので多くの方は検査をすることができず、流行しているかどうかを把握することは難しいと推測されます。抗ウイルス薬は存在しませんが対症療法を行い自然経過で治癒することから過度に恐れることはなく、基本的な感染対策と呼吸器症状が遷延する場合の適切な対応が求められることになるかと思われます。今回も報道ぶりがやや過剰と見受けられました。

 

 

 

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