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マラリア Malaria

マラリアの病原体 

 マラリアの病原体は寄生虫(原虫)で、ヒトに感染するマラリア原虫は熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形の四種類があります。このうち熱帯熱マラリアは診断・治療が遅れた場合に死に至ることがあるために悪性マラリアと呼ばれています。感染経路のほとんどはハマダラカという蚊の吸血によるものですが、まれに母子感染、輸血や針刺し事故による感染の報告もあります。蚊に吸血されてから発症までの潜伏期間は熱帯熱マラリアで通常2-3週間、他のマラリアではやや長く、数ヶ月に及ぶ場合もあります。

マラリアの症状と経過 

 一般的には悪寒戦慄を伴う高熱で発症します。アフリカなどのマラリア流行地から帰国してから突然の高熱が出た場合には、直ちに感染症専門医の診察を受けることが望まれます。特に熱帯熱マラリアの早期診断はきわめて重要で、治療の開始が遅れた場合や治療が適切でない場合には、多臓器の障害が起こり、命にかかわることもあります。マラリア原虫は赤血球内で分裂増殖を行い、寄生した赤血球が破裂したときに発熱するために、その周期が48時間の三日熱マラリアでは1日おき(発熱後から3日目)、72時間の四日熱マラリアでは2日おき(発熱後から4日目)に発熱を繰り返します。卵形マラリアは三日熱マラリアと類似し周期は48時間です。但し、病初期や混合感染の時などは典型的な発熱周期を示さないことがあるため、これだけでは種の鑑別は確かではありません。一方で熱帯熱マラリアの発熱周期は不規則で、発熱に伴う頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの随伴症状もみられ、他のマラリアに比べると解熱している間でも症状が軽減しない傾向にあります。また、マラリアに対する免疫の有無によっても症状が異なります。例えば、マラリアに対する免疫を持たない日本人旅行者は、たとえ良性マラリアであっても重症感があり、寄生している原虫数がごくわずかであっても40度を超える発熱がみられることがしばしばあります。一方で、幼少期よりマラリア流行地で育ち、マラリアに何度も罹患している外国人などは、たとえ熱帯熱マラリアであっても病初期であれば意外と普通の生活をしていたりします。三日熱マラリアと卵形マラリアの場合は、肝臓の中に休眠体が残存することがあり、再発の原因となるために、プリマキンによる根治療法が必要となります。ヒトからヒトへは直接感染しませんので特別な感染予防対策は不要です。

マラリアの検査 

 血液検査では、マラリアに特徴的とされている貧血は病初期にはみられないこともありますが、血小板減少はよくみられます。生化学検査ではLDH、ビリルビン値の上昇などが高率にみられますが、それぞれ単独では特徴的ではありません。すなわち、一般血液検査のみでマラリアと診断するのは困難で、確定診断には顕微鏡によるマラリア原虫の寄生した赤血球を確認する方法が基本となります。この他に海外では原虫の特異蛋白であるhistidine-rich proteinⅡ(HRP-Ⅱ)や原虫由来の酵素であるpLDHを検出する簡易キットが使用されていますが、日本では未承認であり一部の施設で研究用として補助診断目的で使用されています。

マラリアの治療 

 治療は抗マラリア薬を使用します。日本で保険適応となっている治療薬はメフロキン(メファキン「ヒサミツ」錠)、アトバコン・プログアニル合剤(マラロン配合錠)、アーテメター・ルメファントリン合剤(リアメット配合錠)、プリマキン(プリマキン錠「サノフィ」)です。発症早期に治療を開始すれば合併症や後遺症なく治癒します。三日熱マラリアと卵形マラリアの場合は、プリマキンによる根治療法が必要です。

 当院ではすべての抗マラリア薬および簡易キット(研究用・国内未承認)を常備しています。

 

<WHOによるマラリア発生地域(茶色の地域)>

https://www.who.int/gho/malaria/en/

 

<重症マラリアの血液塗抹標本像>

 このような状態になると救命困難です。

 

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